2012年5月7日月曜日

森と里つなぎ・森の相談


●秋山記念生命科学振興財団の助成を受けた、「森と里つなぎプロジェクト」の報告です。

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陣内です。
今回は、「森の相談と、プランづくり」です。


雪がとけ残る旭川市東鷹栖。
この夏、2000mの道づくりと、間伐を予定している現場です。
昨年も夏と冬に現場を見ていますが・・・
残雪のときにしか分からないこと、
それは地形と水の状態です。
夏は胸まであるササに覆われ、よく分かりません。
今は、水のあるところだけ先に雪がとけて、
非常によく分かるようになります。
でも、この状態は1年のうち2~3週間というピンポイント。貴重です。
水のあるところには基本的に道をつけません。








































この30ヘクタールの森は、5人の方が所有しています。
森の地面は微妙な傾斜の違いから、
水気が多かったり乾いていたりしています。
数10メートルずれただけで生えている木の種類が変わっています。
たいていはカラマツやトドマツが植えられているのですが、
水気の多いところ(谷地、ヤチといいます)はカラマツの成長が悪く、
ヤチダモやハルニレ、オニグルミなどの林になっています。
こういうところでの、過度な伐採は森が再生しにくいので、
積極的な林業はできません。

反対に、乾いたなだらかな尾根ではカラマツも大きく立派に育っています。
広葉樹では、ミズナラやハリギリ、イタヤカエデも元気です。
生産性が高く、間伐後の再生も旺盛と思われます。

考えてみると、開拓時代にたまたま割り当てられた土地で、
水気が多かったら、林業の収益は期待できない。
しかも、その人の森は、水辺の大切な環境を守り、下流のみんなの
ためになっているのです。
ヤチダモが大きく育つには、カラマツの倍の時間がかかります。
その分、高く売れますが、100年以上待ってください、
というのが現実的な提案なのか迷います。

















もし100年待てば、立派に育った木を少しずつ切って、
森の再生力をこえないように林業をすることは可能かもしれません。
本来林業は、「元本」をとっておいて、「利子」の一部を
分けていただくものだと思うのです。

昔住んだ山をもう一度見たいという山主さんもいました。
いい道をつけて、車で連れて行ってあげたい。
その上で、森の将来のプランを説明したいと思っています。
プランづくりは、林業試験場、北大などにアドバイスを
もらいながらやる予定です。
またご報告します。

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