2017年10月31日火曜日

「森薪塾2017」第3回講習会 巨木の森を歩こう



 
 



 103日火曜日、今回の「森薪塾2017」は東京大学富良野演習林において見学会を実施しました。
 同演習林は1899年(明治32年)に国有林を譲り受け、現在は富良野市内約22千haの森林で林学に関する様々な研究や実験を行なっています。




平日にも関わらず、道内各地から総勢16名の方々にご参加いただきました。



 見学会では犬飼技術主任に終日ご同行いただき、同演習林において50年以上にわたり取り組まれている「林分施業法」について説明を受けたあと、いくつかの現場を案内していただきました。針葉樹を中心とした天然林、36年前に台風による被害を受け回復途中にある二次林、集材現場や原生林など、それぞれの林相に応じた施業方法などについて詳しく説明をしていただきました。




森林資料館で「林分施業法」について説明を受ける。



様々な樹種の丸太標本。樹齢数百年のものある。


林内で演習林での施業方法について解説する犬飼技術主任。


集材現場での作業も見学させていただきました。


原生林にて、倒木の幹からエゾマツなどの幼樹が発芽しています。


 今回の参加者の方々の中には、山林を所有されている方や森林に関する仕事をされている方もおり、皆熱心に説明に耳をかたむけていました。
 
 今回訪れた森は、私たちが普段接している森とは時間や面積のスケールが違います。しかし森林環境の保全や森づくりの考え方において、きっと皆さんそれぞれの「理想の森」が見えたのではないでしょうか。
 今回の見学会が参加者の方々にとって、これからの森との関わり方の手がかりになってもらえたら嬉しいです。
(中村)

2017年9月9日土曜日

「森薪塾2017」第2回講習会 森の将来を考えて 間伐と搬出



 当日は台風の影響で悪天候の予報でしたが、好天に恵まれとても爽やかな1日でした。参加者は6名。旭川市内を始め、札幌市や下川町からもご参加いただきました。



 今回のテーマは人工林の間伐と搬出です。東鷹栖の山に入り、まずは人工林の林内を観察します。研修場所は35年生の混み合ったうす暗いトドマツ林です。現在は人工林ですが、強めの間伐によって日当たりを良くし、天然の広葉樹を増やして針広混交林に誘導しようという施業方針になっています。ここで大切なのは「選木」で、数十年後、森の主役になる「将来木」を選び、その成長に支障となる木を間伐します。参加メンバーの方々はチームに分かれ、幹や枝張りの状態、太さ、高さなどから「将来木」選び、その周囲から間伐木を選びます。間伐木をどこにどう倒すのかを想定し必要であれば倒すスペースを開けるため、さらに1、2本伐倒木を選びます。ブドウヅルや枝張りをよく観察し倒す方向、順番を決めます。



 そして、いよいよ伐倒にかかります。まずは伐倒木の足元をきれいにし、退避場所を確保します。そして倒す方向を見定め、慎重に受け口を作ります。できた受け口が狙った方向を向いているか再度みんなで確認し、必要なら修正を加えます。受け口ができたら追い口です。最終的にどこまで切るか、角度に気をつけながら慎重かつ大胆にチェンソーを入れていきます。

 
 
 みなさん上手に狙った方向へ倒すことができました。気持ちよく木が倒れたところでお昼になり、森の中でお弁当を食べ、焚き火でお湯を沸かしてコーヒーを飲みました。森の中のコーヒーは格別の味です。
 
 午後はかかり木の処理と搬出です。午前中の伐倒でみなさん上手に倒すことができので、わざわざかかり木を作りました・・・。かかり木の根元をチルホール(ハンドウインチ)を使って手前に引いていきます。チルホールのレバーを前後に動かし、少しずつ根元を引きます。やがて、かかっていた枝などから伐倒木が外れ、地面に落ちます。地面の状態にもよりますが、それほど力はいりません。

 

 次に搬出です。倒れた木の枝をきれいに払い、丸太の状態にします。それにロープをかけPCウインチ(エンジン式ポータブルウインチ)で道路脇まで引いてきます。この時大活躍するのがログキャップ(写真中央の黄色い物体)です。丸太の先端にログキャップをかぶせるだけで、障害物をスルリスルリとよけて行きます。



  

 最後に少し移動し、間伐の効果を実感できる森を見にいきました。研修を行った森と同じトドマツ林でしたが、樹間(木と木の距離)が広くそれぞれの木が太く背が高いです。さらに林床には広葉樹の苗木がたくさん生えています。一般的に林内が明るくなるとササが侵入しやすくなりますが、この場所は「ササは侵入できないが広葉樹は成長できる」という微妙な明るさを保っています。間伐の仕方でこんな微妙なコントロールが可能なんですね。
 

 今回はプレスクールを含めると3回目になります。みなさんのチェンソーの扱いが上達していることを実感できる研修でした。参加メンバーの方々から「理由をはっきりさせて考えて伐ることが大切だと思いました。」「ログキャップの効果に驚いた。」「「かかり木処理の仕方が勉強になった。」などの感想をいただきました。メンバーの中には山林を所有している方や最近購入した方もいらっしゃいましたが、今回の研修で学んだことをそれぞれの森づくりで生かしていただければと思います。


 (中村)

2017年7月18日火曜日

「森薪塾2017」第1回講習会実施しました。

 森薪塾の第1回目は本格的な立木(りゅうぼく)の伐倒体験です。
 旭川市東鷹栖の私有林「ポンヌプリ」をフィールドに、まずは高密度に造成された作業路網の様子と、それを活用した間伐の効果を見学しました。


 ポンヌプリのトドマツ林では15haに約3000mの作業路網が造成されています。作業路は幅2.5m、勾配(傾斜)は12度前後とほぼ一定で、歩くのも楽です。
 森全体をカバーするように設計された路網は、大半の木を道からすぐ引き寄せられるようになっており、コストを抑え、森を傷めずに丁寧な間伐・択伐ができます。
 実際、歩いてみると、木と木の間がほどよく開いていて、とても気持ちの良い森です。広葉樹が点在し、「森の将来を考える」が実感できました。


 ヤマブドウやコクワなど、木に絡みつくツルが目立ち、塾生からは「ツルは残す? 切る?」と質問が出ました。ツルがらみは伐倒の際に方向が狂って危険だし、枝折れ、幹損傷の原因にもなります。多くの林業家は片端から切りますが、動物の貴重なえさ場という側面もあり、この森では林縁(外側)に面したところのツルは残しているそうです。
 さて、伐倒訓練の場所は40年生の混み合ったトドマツ林です。枝葉が茂って空が見えず、うす暗い林床に植物がほとんど生えていません。
 第1段階は、この森の将来を託す「一番」の木を決め、それとぶつかっている木を間伐対象に選びます。木の元気さや位置関係、形質などをよく見て、21組で「将来を担う木」を決めます。すると伐採木はすんなり選べます。思ったより太い木を間伐することになりました。

 第2段階は伐倒基礎です。まずは一度倒した伐根で、受け口を作り、追い口を切って、正確に倒す切り込みの練習です。チェンソーを斜めや水平に支え、切り口をうまく合わせるのは結構難しいものです。「本や動画でも理解できなかったが、自分でやるとわかる」という声の一方、「わかってもできないねえ」という人も。そりゃそうですよ。

 第3段階は、いよいよ立木の伐倒。枝の張り具合や幹の傾きも見て、倒す方向を決めます。北欧式伐倒の特徴は、切る手順も独特ですが、「初心者が間違えても、決定的な危険に至らない」という安全優先の思想が技術に反映されているところです。

 立木を切るのはほぼ全員初めてでしたが、皆さん、狙い通りに倒すことができました。倒した後は、ぽっかりと明るい空が広がりました。まだまだ奥は深いのですが、これで「森を読み、手を入れる」という山主への一歩を踏み出せました。
(山本)